あの日勇気がなかった私たちは~卒業の日~
そこからなぜか三人での会話が始まった。窓側の前から二番目に座る桜庭さんと、その前に座る新藤、真ん中の列の一番後ろに座る俺。明らかに会話するには不自然な距離感。
さらにいうと俺は桜庭さんと話したことがない。

端から見れば違和感しか感じないメンバーでの会話だが、意外と会話は弾んだ。これもコミュニケーション力の高い新藤のおかげだろう。しかし話題は進み、なぜか恋バナに変わった。・・・このメンバーで恋バナなんて変な感じだ。


今日の会話で桜庭さんは仲のいい人には結構遠慮なくものをいう人だと知った。
それだけ新藤との仲はいいのだろう。

しかしそんな桜庭さんも恋バナになると発言回数がほとんどなくなった。
恋バナが苦手なのかもしれない。


「そういえば、最近一ノ瀬って杏奈といい感じだよね、付き合ってるの?」


恋バナの途中で話題は俺と杏奈のことになった。
俺たちは隠れて付き合っている訳じゃないけれど、だからといってオープンにはしていない。
だから端から見ればいい雰囲気の二人としかみえないだろう。


< 48 / 97 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop