あの日勇気がなかった私たちは~卒業の日~
「わたし、先輩のピアノのファンなんです!」

「え?ピアノ?」


確かに私は高校二年のコンクールでピアノを弾いた。
でもその一回だけなのに。


「澪先輩のピアノはなんていうか心に響くというか、表現が豊かなんですよね!」

「確かに澪先輩のピアノって表現力豊かだよね」


・・・私はピアノを小学生の頃から習っていた。長年習っている割にはそんなにうまくなれなくて、やめようかと思ったときもあった。
しかしピアノの先生の助言もあり、私は技術力ではなく表現力を磨くことにした。

だけれどそれは所詮ただの自己満足でしかなかった。
なのにこの子は褒めてくれた。

「ありがとう、素直に嬉しい」


「だから、わたし澪先輩に音楽やめて欲しくなくて」

「吹奏楽はもうやるつもりはないけど・・・たぶんピアノは続けるよ。趣味として」

「はい!死ぬまで続けてください!!」

「え、死ぬまで・・・」

「あははは、死ぬまでって澪大変じゃん}

後輩のびっくり発言にみんなが大笑いする。
いつもそうだった。私がいたクラリネットパートにはいつも笑いがあふれていた。
きっと何年たってもみんなと過ごした日々は忘れないだろう。
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