もう、限界だから。〜両片想いの溺愛同盟〜
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イライラする。
ただ、それだけだった。
正直、昨日の時点ではまだ我慢できると思っていた俺は、明らかに甘く見ていた。
唯香に、先輩の試合を観に行こうと誘われた時は腹が立って仕方がなかった。
だが試合の後に、唯香を独り占めできるからと思い了承した自分にも腹が立つ。
「うわぁ、すごいね!」
今、唯香の瞳に映っているのは俺じゃなく、一つ年上の先輩。
確か光原という名前だった。
唯香はキラキラした目で、その先輩を見つめている。
それだけでもう許されない。
他の男を見ているだなんて、考えただけでもイライラが止まらない。