もう、限界だから。〜両片想いの溺愛同盟〜
「健斗、そんな不機嫌な顔しないでよ。
せっかく応援に来てるのに」
いや、全部唯香のせいだから。
「……帰りたい」
「あっ、それ言わない約束でしょ!」
試合が始まる前から帰りたいと言う俺に、唯香から出された禁止令。
「別に守るって言ってねぇし」
「こら、それ以上言ったら怒るよ。他にも応援に来てる子もいるんだから……あっ、また決めた!」
少し俺の相手をしたかと思えば、唯香はまた視線をコート内に戻す。
構って欲しくて手をつないでやれば、またすぐ唯香は反応して俺のほうを向いた。