狼を甘くするためのレシピ〜*
 ――ダメダメ。
 とりあえず落ち着こうと水を飲んだ。

 走ったせいもあるのだろう。妙に火照っている体と心に、冷えた水が染み込んでいく。

 グラスをテーブルに戻し、ひと息ついた時には少し冷静になっていた。

 目の前のケイをチラリと見ると、彼はメニューを眺めている。

 ――他の定食にすればよかったとか思ってるのだろうか。
 のん気な男だ。人の気も知らないで。

 やれやれと思いながら、あらためて蘭々は思い返してみた。

 ネックレスに気を取られて飛び出てきたけれど、そもそも自分はなぜケイに連絡をとったのか。
 わざわざアキ用のスマートホンを買ってまで。

 最初に頭に浮かんだのは、ホテルのロビーで見た美人。

 彼女はケイの恋人なのか、仕事仲間なのか、どうしてふたりはあの場にいたのか。
 それが気になって知りたくてスマートホンを買ったのだと思う。
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