狼を甘くするためのレシピ〜*
 聞いてみようと思った。
 せっかく追いかけてきたのだから。

 ――でも、なんて聞いたらいいの?

『一緒にいた女性は恋人? それとも同僚?』

 聞きたいのはズバリそのことだけれど、なんとなく聞きづらい。

 さりげなく言うにはどうしたらいいのだろう? 『美人と一緒にいたわね』と切り出すのが自然だろうか?

 そこまで考えて、はたと気づく。
 ――ばかじゃないの、私。聞くだけなのに何悩んでいるの?

 気を紛らわせようとまたグラスを手に取った時、「お待たせしました」と定食が出てきた。

 恐ろしいほどの早さだ。
 ほとんど待ったという記憶がない。

 呆気にとられる蘭々に、のんびりとケイが言う。

「早いなぁ」


「――ほんと、ビックリ」

 ――食事に来たあなたと、あなたに会いに来た私。その温度差にビックリよ。

 やるせなさにため息をつきながら、蘭々は定食に箸を伸ばした。
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