狼を甘くするためのレシピ〜*
スーツの内ポケットに刺したクリップが、ブルブルと小さく震える。
スマートホンからの着信を知らせる振動だ。
それに気づいた氷室仁は、ひととおり会話が済んだところで、相手に断りを入れて席を立った。
廊下に出るとすぐ、秘書の女性に声をかける。
「お帰りになる。車の準備を。あと、お茶を新しいものと替えてくれる?」
「はい。わかりました」
秘書が立ち去るのを見届けると、仁はスマートホンを取り出して、画面に指を走らせた。
着信の知らせは、信頼する部下の藤尾からだった。
藤尾は『コルヌイエ』の店員兼警備にあたっている。
そして仁は、彼にここ数日の間、蘭々の行動を監視させていた。
罪悪感がなかったわけじゃない。
だがそれ以上に、蘭々を心配する気持ちと、蘭々の相手を確かめなければいけないという思いが上回った。
スマートホンからの着信を知らせる振動だ。
それに気づいた氷室仁は、ひととおり会話が済んだところで、相手に断りを入れて席を立った。
廊下に出るとすぐ、秘書の女性に声をかける。
「お帰りになる。車の準備を。あと、お茶を新しいものと替えてくれる?」
「はい。わかりました」
秘書が立ち去るのを見届けると、仁はスマートホンを取り出して、画面に指を走らせた。
着信の知らせは、信頼する部下の藤尾からだった。
藤尾は『コルヌイエ』の店員兼警備にあたっている。
そして仁は、彼にここ数日の間、蘭々の行動を監視させていた。
罪悪感がなかったわけじゃない。
だがそれ以上に、蘭々を心配する気持ちと、蘭々の相手を確かめなければいけないという思いが上回った。