狼を甘くするためのレシピ〜*
***

――私は忙しいって言ったじゃない。七時までは仕事なの、だから行けないの。

ため息をつきながら時計を見れば、夕方の六時。
ケイが一方的に伝えた待ち合わせ時間の七時まで、あと一時間だ。

行くか、すっぽかすか。

この数時間、蘭々はずっと迷っている。

今夜他に予定があるわけではないが、今日の勤務は七時まで。
客がうまく切れなければその時間もどうなるかわからない。

店を出て、それからカフェまでは急いで歩いても十五分はかかる。
なんだかんだで、どんなに急いでも、到着するのは七時半を優に過ぎてしまうだろう。

仮に行ってみたところで、ケイが待っていないかもしれないと思うと腹が立つし、かといって待ってほしいと連絡するのも嫌だった。

――大体なんなのよ。一方的に! せめて都合くらい聞け。

なぜだかわからないが、ケイといると言葉づかいが荒くなる。
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