狼を甘くするためのレシピ〜*
 ――果たして、彼は待っているだろうか?

『七時まで待って来なかったから、一人で行くから気にするな』

 彼の言葉通りなら、店に行ったところでもういないはず。
 そうわかっていても、もしケイの姿がなければ寂しさだけが残るだろう。

 でも、紗空がいてくれれば、その後の時間を楽しく過ごすことができる。そう思って彼女に付き添ってもらうことにした。

 もし待っているようなら、声くらいかけてもいい。
 紗空を見ながら、これから友達と約束があるのと言えば罪悪感は残らないだろうと思った。
 その場で断っても、行くだけはちゃんと行ったということになるのだから。

 ちらりと壁の時計を見る。
 七時ジャスト。

 あれやこれやと考えるうち、蘭々の就業時間は終わりを告げた。

「お先ね」

「お疲れ様でした」

 仕事が終わった蘭々は、『これから着替えて向かうわね』と紗空に連絡をして私服に着替える。
< 136 / 277 >

この作品をシェア

pagetop