狼を甘くするためのレシピ〜*
 ロッカーには、LaLaのイメージから外れてない服も置いてある。
 蘭々が手に取ったのは、フェミニンだけれども大人の女性らしいワンピースだった。

 大きめのバッグに昼間着ていたアキ用の服を入れ、ウィッグをつけた髪のまま、通りへ出た。

 この街はモデルも多い。
 歩く女性たちは洗練されているし、それに夜のとばりが隠してくれる。蘭々がそのまま歩いていてもそれほど目立つことはない。

 広場に近づくと、紗空が手を振って蘭々を迎えた。

「ごめんね、お待たせ」

 時間を確認すると、七時三十分だった。
 予想通りの時間である。

「いいえ、お買い物をして今来たところです」

「ほんとにごめんね、変なお願いしちゃって」

「ぜんぜんオッケーですよ、どうせ暇でしたから」
 左右に手を振りながら、紗空はうれしそうに微笑む。

「それで、そこのラウンジに入って知人の方を探すんですよね? でもその知人の方は蘭々さんがLaLaだとは知らないし、知られたくはないってことですよね」

 紗空にはオブラートに包んだ説明しかしていない。

 それでも彼女は、ポイントをしっかりと捉えてくれている。
 うんうん、その通り、と感心するように頷きながら、ふたりは早速店に入ることにした。
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