狼を甘くするためのレシピ〜*
 先に入るのは紗空。
 少し隠れるようにして蘭々は後ろからついていく。

「多分もういないと思うのよ。でも、万が一彼がいたら、その時考えようと思ってね」

「わかりましたっ」

 一歩先に入った紗空が、ピタリと足を止めた。
「あ!」

「どうしたの?」

 目を丸くしたまま、彼女は蘭々を振り返る。

「た、大変です。氷室仁さんがいます、どうしましょう」

「え?!」

 事情をよく知らない紗空にも、蘭々がお忍びであることはわかるだけに動揺を隠せない。
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