狼を甘くするためのレシピ〜*
 服は昼間に会った時と違ってワンピースだし、ダテ眼鏡もかけていない。化粧もそれなりにしているが、それでも構わないと思った。

 今度こそ最初からあの男に、お!っと驚いた顔をしてもらいたい。
 その顔を見たらご褒美にネクタイをあげよう。

 そうすれば振り回され続けた今日一日の疲れは取れて、満足な一日になる。

 とにかく――。
 負けるもんか!

 何と戦うのか自分でもよくわかなかったが、とにかくそう気合を入れた。


 ――ただ、それにしても。

 カフェで仁が一緒だったという男は、誰なのだろう?

『ったく。せっかく友達の誘いを断ったんだから付き合え』

 ケイがその友人だったりして?

 嫌な予感が胸の奥で疼いたが、考え過ぎだと思い返した。

 ――いくらなんでも、そこまでの偶然は……ないない。
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