狼を甘くするためのレシピ〜*
 ――冗談よね? まさか、仁のこと?
 ぐらりと目眩に襲われそうになる。

「知らない人との同席はちょっと……」

「だよな、わかった。別にいいさ」

「私はいいから、友達と一緒に飲んだら?」

「何言ってんだ。そっちを優先したかったら、わざわざお前を催促してまで誘わないさ」

 ――ありがと。
 心の中でそう言った。

 それにしても、ケイが仁や燎と友達だなんてことが、本当にあるのかしら。そんな嘘みたいな偶然が?

「――でいいか?」
「え? あ、ごめん聞いてなかった」

「俺はスーツ。お前はワンピース。ここはトキオ。今日は夜景でも見ながら静かに食事をしようって言ったのさ」

「トキオ」

思わず弾けたようにアハハと笑う蘭々の肩を抱き、ケイは歩き出す。

 ――やっぱりこの男といると楽しい。
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