狼を甘くするためのレシピ〜*
 ケイがクスッと微笑み返す。

 目を細めて、ニッと白い歯を見せるケイの笑い顔は本当に魅力的だと思う。

「ケイって、センスがいいのね。スーツもネクタイもなんかいいわ」

「なんだよ、褒め殺しか?」と笑ったケイは軽く首を傾げた。

「店に言って全部任せるのさ。流行りもなにも全くわかんねーし」

「アハハ、ケイらしい」

 美味しいワインと、美味しい料理。
 そして、素敵な夜景。

 話が途切れると聞こえてくる耳に心地よい音楽。
 ほんのつかの間、ひと時の流れに身を委ねる心地よさ。

 好きな人とふたりで至福の時を過ごす幸せ。


 ――え?

 今、好きな人って思った? いやいや流され過ぎでしょ、私。

「じゃ、そろそろ出るか。他で飲み直そう」
 そう言ってケイはウェイターを呼んだ。
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