狼を甘くするためのレシピ〜*
 財布を出そうとすると、ケイが「俺の奢りだよ。付き合ってもらったんだ」と言う。

「うーん、じゃあ……ありがとう」

 ウェイターが伝票を持ってくると、そのノートタイプの伝票を手元におろし、現金なのかカードなのかそのどちらかを挟んだ伝票をウェイターに渡す。

 一連のケイの動きは、テーブルの陰になり蘭々からは一切見えなかった。
 料金が一体いくらなのかも、何もわからない。

 ふと、自分のバッグの中で光るスマートホンのLEDが目に留まる。

 化粧室に行ってくると断って、化粧室で確認してみると、紗空からのSNSだった。

『蘭々さんのお知り合いかどうかはわかりませんが、燎さんが偶然店で会った友人はミナモトケイという人だそうです。どうですか?その方ですか?青扇ではなく別の高校出身で、燎さんや仁さんとは高校の頃からの遊び友達だそうです。またなにかわかったら連絡しますね!』

 喉が締め付けられるように苦しくなり、ゴクリと音が鳴る。

 ――万に一つの確率で本当に起きた偶然……。

 お礼と、『私の知り合いは恐らくその人よ』、という返事を送り、蘭々はため息をつく。
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