狼を甘くするためのレシピ〜*
 燎も仁も高校時代の素行はそれほど良かったとは言えない。

 その時代に知り合った別の高校の遊び仲間となると、ミナモトケイも同じように夜遊びしていたのだろう。

 臆することなくこんな高級店に入り、スマートに会計をするところを見ても、彼がそれなりに世事に通じている、いや遊び慣れている都会の男だということを証明している。

 ――なにがトキオよ。
 田舎暮らしは仮の姿なんでしょう?

 全く馬鹿にしてると、腹が立ち、買ったネクタイを渡して帰ろうと決意した。

「おまたせ」

 化粧室から戻るとケイは席を立つ。

「行こう」
「うん」

 エレベーターを待つうちにケイが言った。
「うちで飲み直すか? それなりに夜景が綺麗だぞ」

「うち? あなたこっちに自宅があるの?」

 おや、と思う。
 都会育ちを隠す気はないらしい。
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