狼を甘くするためのレシピ〜*
 そんな迷える蘭々を、仁は見つめていた。

 目の前でサラダを口にする蘭々は、ますます綺麗になったなと思う。

 あの夜――。
 径生と待ち合わせのカフェに行き、径生に聞いた。

『待ち合わせは、もしかしてこの前言ってた女?』

『ああ。でも来るかなあ』

『なんだ、返事はもらってないのか』

 それ以上は聞かなかったし、径生もなにも言わなかった。

 じゃあな、と挨拶を交わしカフェを出た仁は、そのまま蘭々に電話をかけた。

 でも呼び出し音はむなしく耳に響くだけで、応答はない。

 もう一度かけてみたところで、車に乗った。

 蘭々から初めてワンナイトの話を聞いた時、その男とは二度と会うなと言ったはずで、彼女はあの時、”そうね”と答えた。
< 212 / 277 >

この作品をシェア

pagetop