狼を甘くするためのレシピ〜*
「バッテリーあがった?」
 オウム返しに聞き返すと、彼は「そのままライト、点けてみな。室内ライトとかヘッドライトとか」と言う。

「あ、は、はい」

 慌ててドアを開けて運転席に座り、男に言われた通りあちこちのライトのスイッチを動かしてみた。室内ライトも、そしてどうやらヘッドライトも点かなかったらしい。

 男が両手をクロスさせてバツを作って頷いている。

 ――バッテリーがあがると電気はつかないということか。なるほど、なるほど。
 感心するとともに大きく頷いた。

 ということで、彼の言う通りバッテリーがあがったということがわかったが――。

 さあ、困った。
 何をどうしたらいいのか、蘭々には全くわからない。

 とりあえず叔母さんに電話をして――。

 そう思いながら、まずは車から降りて、軽トラックの彼に礼を言った。

「ありがとうございます。原因がわかってホッとしました」

 すると彼は「ケーブル持ってるから、やってあげようか?」と言う。

「え? もしかして、直せるんですか?」
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