狼を甘くするためのレシピ〜*
「お疲れさまです。蘭々さん、今日は大変でしたね」

「大丈夫よ、明日はゆっくり休むから」

 日が暮れる時間は、一日ごとに早くなっていく。

 着替えた蘭々が外に出た七時には、既にすっかり夜の帳に包まれていた。

 明日明後日は連休をとっている。
 狭く暗いだけの夜空を見上げながら、どこかに行こうかなと思った。

 ケイはこの東京に住んでいる。
 東京生まれの東京育ち。

 仁や燎の遊び友達の彼は、田舎者ではなかったし、人に使われる身分でもなかった。高層マンションに住み、本業はIT企業の代表だということもわかっている。

 考えてみれば、全てが裏切りのように思えた。

 ――定食屋に誘ったのは、アキだから?

 あの女性と行くのはいつも、今日のようにおしゃれなカフェなの?

 その問いかけに、『そうに決まってるじゃない』と、心の中のLaLaが笑う。
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