狼を甘くするためのレシピ〜*
「わ、わかりました。落ち着いて」

 その迫力に押されたこともあって、月子はあきらめのため息をついた。

 バッグから取り出したのは名刺入れ。
 そこから一枚を抜き出すと、彼女に差し出す。

「私は、Vdreamの社員です。源径生さんは上司で代表取締役社長。お付き合いはしていません。上司と部下の関係です」

「……同じ会社の方?」

 渡された名刺を両手で持ち、ジッと見つめた。

「そうですよ」

 カチャ、と音がして扉が開いた。

「紗空ちゃん?」

「あ……」

「どうかした? だいじょうぶ?」そう声をかけたあと、蘭々と月子は目が合った。

 途端に蘭々はサングラスの奥で、驚いたように目を丸くする。

「ご一緒しませんか? ここでお会いしたのも何かの縁でしょうから」

 月子は、にっこりと微笑んだ。
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