狼を甘くするためのレシピ〜*
 バッグを抱えて慌てて駐車場に向かった蘭々は、車の中に逃げ込んだ。
 降り出した雨はあっという間に大粒になって、フロントガラスに打ちつける。

 ゲリラ豪雨だ。

 すぐに車を走らせたものの、雨足はみるみる強くなってくる。
 高速で左右に揺れるワイパーが雨脚に追いつかなくなった。

 思わず「どうしよう」と唇から漏れる。

 ここに来てからは毎日のように車を運転しているが、そもそも運転には慣れていない。この状態で走り続けるのは危険過ぎる。

 視界がよくなるまで、どこかで休もうと見渡した時、ふと、『珈琲』という看板が目に留まった。

 ――ここで休もう。

 迷うことなくウインカーをカチカチと鳴らして、ハンドルを右に切った。
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