狼を甘くするためのレシピ〜*
 思い出すとクスっと笑ってしまう。

 考えてみれば、焼きとり屋に行くのも初めての経験だ。
 はじめて自分から男を誘い、はじめて焼きとり屋に行く。初めて続きについ浮き浮きと心が弾むが、ダメよ気を付けてと気を引き締めた。

 男には、自分がLaLaであることを絶対に隠し通さなければならない。

 万が一のためコインロッカーに旅行バッグを預けるつもりでいたが、ふと考えた。

 免許証もスマートホンも、身元がわかるものは何も持たないでいきたい。でも、だからといってコインロッカーに入れておくのも、ちょっと抵抗がある。

 どうしようかなぁと思いながら、辺りを見回して目に留まったのは駅前ロータリーにあるシティホテル。

 ホテルの部屋を取ったらどうだろうと考えた。

 荷物を置いて、現金だけを持ち歩く。
 そうすれば、なにがあっても彼に自分の身元が明かされることはないだろう。

 たったそれだけのために部屋をとるのは勿体ない気もしたが、気分転換に今夜はここに泊まって明日の朝帰ればいいではないか。

 ――よし。決まった。

 我ながらいい考えを思いついたと頷いて、蘭々はホテルへと向かった。
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