狼を甘くするためのレシピ〜*
「いらっしゃいませ」

「予約はしていないんですが、空いてますか?」

「ええ、空いております」

 無事シングルルームを取ることが出来た。
 これで準備は万端である。

 入念に老けメイクのチェックをして、向かった駅ビル内の本屋。

 待ち合わせ時間まで、あと十分。

 きょろきょろと見渡すが、男はまだ来ていないようだった。

 蘭々の辞書からいえば、待ち合わせ十分前は、ちょうどいいか、もしくはちょっと遅いくらいである。
 もし、彼が時間になっても来なかった場合はどうする? と考えた。

 待つのは嫌いだし、待つ義理はない。

 それでも一分くらいなら仕方がない。最高でも三分までは待ってみようかと思いながら、雑誌を手に取って時間をつぶすことにした。

 自然と目がいくのはやはりファッション誌であるが、あえて見ないようにして目についた料理の雑誌に手を伸ばす。
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