狼を甘くするためのレシピ〜*
 そしてふと気づいた。

 本屋で料理雑誌を手に取ったのも、はじめてではないだろうかと。

 ただ、このはじめての経験だけは、女としてどうなんだろう。
 ――うわー私って、ほんとうに結婚に向いてないわー。

 ちょっと悲しくなりながら、ペラペラとページを捲る。

 よく見ればお弁当の特集本だった。

 自分にも、お弁当を作る日なんて来るのだろうか?
 そんなことを考えながらジッと見つめるが、どれもこれも自分には難易度が高すぎて目が滑る。

 ――これはだめだわ。
 例えばこの焼き色。

 以前鶏肉を焼いた時のこと、表面はいい感じの焼き色がついているのに、食べようとしたら中は生のままで、仕方なくレンジでチンしたことがある。あるいは焼き過ぎて硬すぎなんてことも。

 こんな風に食べても美味しくいい感じに焼けるまで、一体何枚の鶏肉を焼くのだろうか。想像しただけで心が折れた。
 焼きたくない。

 結婚するならいっそ、料理をしてくれる人にしよう。

 そう心に誓い、時計を見た。
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