狼を甘くするためのレシピ〜*
 待ち合わせの時間は午後六時。

 今まさにピンと時計の針が一直線になった時、
「よっ」
 男が現れた。

 一分も遅れることもなく、時間ぴったりの登場である。

「待たせたか?」

「いいえ、大丈夫よ」

 文句も言えないぎりぎりの登場に、蘭々は肩をすくめた。
「じゃあ、早速行きましょうか」
 雑誌を棚に戻し、ニッコリと頷いた男と共に歩き出す。

 夜ともなればさすがに冷えるからだろう。今夜の男は白のTシャツの上に、黒のライダースジャケットを羽織っている。定番ではあるが、普通にかっこいい。

 でも、足元は相変わらず素足にサンダルだ。
 履き古しているジーンズといい、全体的にラフなことには変わらない。

 ――ん?

 すれ違いざまに、男をしっかりと捉える女性の目を見て、蘭々はふと思った。

 そういえばこの男、独身なのだろうか?
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