グリーンピアト物語~地底の皇女と地上の皇子~
「実は先日、シルビアさんのお母様ミネバさんがここに尋ねて来られてね」

「え? 母がここに? 」

「うん。娘がご迷惑をおかけしてって、謝りに来てくれたんだけど。本当は、シルビアさんとジックニーが心配で来たようだったよ。ジックニーは、黙って出てきてしまったようだし」

 
 ジックニーはバツの悪そうな顔をしている。

「初めはちょっと、怖い顔をしていたけど。ちゃんと分かってくれて、帰る時は笑顔を見せてくれたよ」

「そうでしたか。母はずっと、あまり笑顔を見せてくれませんでした」

「1人で一国を守る事は、想像一上に大変だよ。僕も、この国を1人で守っていた時があるから、良く分るんだ。だから、これからは僕も一緒にミネバさんと地底を守る事にしたよ」

 え? 

 いつのまに?

 マロンディスは驚いて、茫然とした目をしてランフルクを見つめた。


「ん? そんなに驚かないでよ。僕は、持っている力を誰かのために役立てれたらって思うし。この屋敷に1人でいるのはもう嫌だって思ったんだ」

「じゃあ、この屋敷はどうするの? 」

「ここは、ティミスのお父さんジャディスさんに渡すことにするよ。ジャディスさんには、支えてくれる人が居るんだろう? 」

「そうだけど。ここには、いろんな思い出が詰まっているのに。いいの? 」

「ここを譲ったからと言って、思い出が消えるわけじゃない。もう、アドーヌの魂も次のステージに行っているから、ここにはいないよ。それに、地底は魂を弔う場所だ。僕にはぴったりな場所だから」

「そっか。父さんも一緒に来てくれるなら、俺も安心だよ」

 
 ジックニーはランフルクにギュッと抱きついた。

「お爺ちゃん、有難う一緒に来てくれて」

 抱き着くジックニーの頭を、嬉しそうに撫でるランフルク。



 
  



< 93 / 101 >

この作品をシェア

pagetop