大嫌いの裏側で恋をする

***


「おう、高瀬、石川遅いわ」

私と高瀬さんのいる営業一課は、
高瀬さんの他にも数人の営業さんと事務がいて、縦並びにフロアの端を占領しているのだけれど。

その1番先頭。
お誕生日席で、みんなを見渡せる位置に。
普通に話してても響き渡る大きな声。
短く切られた黒い角刈り短髪。
学生の頃は柔道部で、大会でよく優勝したんだって自慢してるのも納得な。
大柄な体型。

そんな我らが課長、岩本さん。
……の、声が響き渡った。

「いや、アンタに呼び出されてからわりとすぐこいつ捕まえて来ましたけど」
「ん? そうか? 俺は1秒でも待つのが嫌いだからな
ぁ!!」


がはは、と。
笑う声も、また豪快。

「おう、石川。 お前この間秋田くんの注文書納期やらかしたらしいなぁ?」
「す、すみませんでした……!」

きた!
やっぱり直近のミス!
不在ばっかだけど、それでも課長。
全部、そりゃ把握してるよね。

私は慌てて頭を下げた。
< 49 / 332 >

この作品をシェア

pagetop