大嫌いの裏側で恋をする
もはや私には発言する暇もなく、フロア全体に響き渡る課長の声と。
テンション低くて最高潮に機嫌悪い高瀬さんの声。
それを交互に聞いてるしかない私。
「飲んでこい! 酒好きだろ経費だ喜べ!!」
ドヤ顔で、私たちを見る、課長。
高瀬さんの溜息が隣から聞こえた。
「……いや、本気で今更。 俺、普通にいつも付き合わされてますけど」
「アホか、お前じゃないわ、秋田くんは石川を呼んでるに決まってるだろ」
「はあ? なんでこいつ」
「秋田くんが連れて来いと言ってるからだ」
デスクに肘をついて、楽しそうに笑う課長が高瀬さんを見上げる。
あ、これ。
課長得意の、無言で
『わかってんだろ?』
って押し負かす時の、顔だ。
そして、そんなことは高瀬さんの方がきっとよく知ってる。
「……わかりましたよ、んで? こいつと俺の他は誰連れてくんです?」
ほら、折れた。
なーんて、行動読めた気になって喜んでみる。
高瀬さんの、全てを今は目で追ってしまうので。
こんなことまで楽しめるみたいだ。
「石川しか呼ばれとらんぞ」
「……ちょっと、こっちで秋田さんと話すんで」
ダルそうに言い残して、課長の前から立ち去る高瀬さん。
私も慌てて頭を下げて、その場を去ろうと足を動かす。
すると。