大嫌いの裏側で恋をする

(吉川さん、来れなかったからなぁ)

「……吉川さん、どうしても外せない予定あるんですってね。 すみません」

小声で言ってみると隣に座る高瀬さんが不思議そうな顔をした。

「あ? どうせ合コンだろ、あいつ。 なんでお前が謝るんだよ」
「え? いや、それは」

この場で言っていいの?
てか、言わせるの?
……なんて、思ってると。

「吉川さんて、あのスレンダー美女?」
「あ! はい、そうですそうです! スレンダー美女!」
「岩本さんが、川コンビのおかげで社内が賑やかになって楽しいってよく話してくれる」
「えええ~課長余計なことを」

川コンビ……。
私が異動してきて、吉川さんと意気投合してから岩本さんが私達2人を呼ぶ時に使ったりするんだけど。

「その呼び方ダサすぎるんで、やめて下さいよ! 秋田さん」

キッと軽く睨みつけると、秋田さんは笑顔をさらに深める。

「お~、いいね。 電話で聞くよりそそられるなぁ。 石川ちゃんの怒ってる声」
「……それは、えっと、何というか秋田さんMっ気でも?」
「いや、全くなかったけど石川ちゃん相手なら目覚めてもいいかもな~」

少し長めの髪の毛、それを耳にかけながら。
ヘラヘラと飾り立ててく言葉からは全く本心を読み取れない。

表面上はいつも仲良く話してるようでいて、私は秋田さんのことをよく知らない。

(この前の納期ミスの時の声)

とても、怖くて、物凄く驚いたから。
手懐けるのが大変だと言った課長の言葉。
妙に納得させられた。
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