大嫌いの裏側で恋をする
「秋田さん、んで親睦深めるってなんすか今更」
その会話に割り込んできた高瀬さん。
ほれ、飲んで下さいよ。 と瓶ビールを片手に秋田さんのグラスに腕を伸ばす。
「そうそう、それ。 今、石川ちゃんと親睦深めてるから高瀬くん入ってこなくていいよ」
「いや、別に秋田さんが親睦深めなくていいでしょう」
「はー、だから番犬はいらないんだけどな」
ね? と、笑いかけられて。
私はとりあえずビールの入ったグラスに口をつけながら、笑顔を作る。
すると、足元らへんで何か震えたと思って下を見ると。
高瀬さんのスマホがスラックスのポケットの中で震えてるらしい。
チラチラと高瀬さんの方を見ても、無視してるみたいで。
どうしたものか。
「そういえば石川ちゃん何歳だっけ?」
「え? 私ですか? 26ですよ」
へえ。 と、ニコニコ細められてた瞳が薄っすら開いて。
私の頭から手元、そして指先まで。
上から下、下から上。
ねっとりと見られて、なんというかちょっと嫌だ。
「いいよね~それくらいの女の子、俺好きなんだよな」
「そうなんですね! 私も秋田さんくらい歳上の男性、素敵だなって思いますけど!」
居心地の悪さから、特に今まで思ってもなかったセリフが口から飛び出る。
ていうか、秋田さん何歳だっけ?
「あのな、お前……」
高瀬さんが何か口を挟もうとした時だ。
また、畳の上、更には座布団を無視して響いてくる着信の振動。
座敷だから、余計気になるよ。
「……さっきから、ずーーっと鳴ってますけど女の人からじゃないですか?」
ちょっとお酒が入ってるのをいいことに、気が大きくなったのか。
私は責めるように言った。