大嫌いの裏側で恋をする
***
高瀬さんが席を外したあと。
口約束なんて聞いてもなかったかのように。
当たり前に、ごく自然に。
秋田さんは、高瀬さんの座っていた席。
……私の隣に、座った。
ピタリとくっついて、座った。
「いやぁ、それにしても、高瀬くんのペアの子がこんなに続いてるの初めてだなぁ」
「だから、興味が湧くんだ」と、話す秋田さんの吐息が耳にかかる。
「ま、まだ半年くらい、なんですけどね!」
「高瀬くんと合わなかったり、残業多かったりで1ヶ月で辞めた子もいたよ」
1ヶ月って!
「早すぎますね……仕事も覚えきれてないでしょうに」
「いや、高瀬くんの顔に惚れ惚れしながらペアになったら実は地獄でした~って、子も多かったからね」
「……惚れ惚れする暇もなく、攻撃的な男でしたけどね、高瀬さん」
ははは、って乾いた笑いしてると。
私のグラスにビールを注ぎながら秋田さんが、唐突に言う。
「彼氏と別れたんだって?」
「え!?」
何で知ってるんですか、と口にする前に秋田さんは笑い声を小さく響かせて言った。
「うちの女の子たちが話してるの聞いたから」