大嫌いの裏側で恋をする


バシっと万札を多分、2~3枚程置いて。
高瀬さんは私の手首を掴んで引っ張り上げた。

「行くぞ」

って、言って。
また舌打ち。

なんか、最近多すぎません?

はい、と言う暇もなく、私のカバンを手にした高瀬さんに引きずられる。
背後から秋田さんの「ごちそーさま、またね」って笑う声がして。

私の手を引く高瀬さんからは、もう一度舌打ち。

酔いと、プラスして多分嬉しくて。
顔が熱くなっていくのがわかる。

息の合う相棒だ、だなんて。
まさか、まさか。高瀬さんの口から聞けるなんて。

夢みたい。
って思った。

引きずられてるはずの身体は、どうしてか。
フワフワと、とても軽く感じて。

なんか、遠くで高瀬さんの怒った声が聞こえるんだけど。
ごめんなさい、もうちょっとだけ邪魔しないで。

もうちょっとだけ、幸せな気分のままでいたいから。

ぼんやりと、そんなことを思ってた。
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