大嫌いの裏側で恋をする
「いや、それにしてもホテルなんか入ったの何年ぶりだろ」
「……俺が知るかよ」
ですよね。 そりゃそうです。
でも、じゃあ何話せばいいの?
会話が続かない。
私わりとうるさい人間だって、
自分で気付いてるからさ。
無言が苦しいとか、普段ないんだけど。
今、かなり、苦しい。
「つーかお前、飲み過ぎだろ」
はあ~、って。
そりゃもう盛大な溜息を再び吐き出して。
ソファーに思いっきりもたれ、天を仰ぐように上を見て。
高瀬さんが言った。
とうしようヤバいな、ヤバい。
潰れることなんて滅多にないのに。
よりにもよって何故、この人の前で……。
「私もしかしなくても酔って寝てました?」
恐る恐る聞き返す。
視線が、私に戻る。
わぁ、睨まれてる。
でも高瀬さんの不機嫌も、さすがに今は納得だ。
だって嫌々飲み会させられて。
後輩は酔って、寝て。
放置もできず、自分帰れず。
「仕方ねぇだろ。 うちに連れ帰るわけに行かねーし。 お前の家も、わかんねぇし」
私が黙ったことが、今『この場』に。
『私たち』がいることが原因だと思ったのだろう。
高瀬さんが「この間ちゃんと聞いてりゃよかったな」と、バツが悪そうに付け加えながらボソッと呟いた。
「……いえ、とんでもない。返す言葉もございません、すみませんでした」
ベッドの上、土下座する勢いで。
私は頭を下げた。