月がキレイな夜に、きみの一番星になりたい。

「私は少しだけ、ふたりの気持ちがわかります」

「うじうじタイプか」

「そう言われちゃうと、悲しいんですけど……」


 苦笑いしつつ、私は思ったことを素直に話す。


「ふたりは家族や友だちに対しても
愛情をもってたから、簡単にバサッと
繋がりを切れなかったんじゃないでしょうか」


私はそう言いながら、手の甲に乗っている
モイラの頭を指先でちょいちょいとなでる。


「恋人か家族か、なんて……
天秤にかけられるものじゃないと思います」


だから、恋人の一族の甥を親友のためにと
殺してしまった。
そんなことをすれば、なおさら……。

 一緒にいられなくなるのは、
目に見えていたはずなのに。

……私もそう。
家族が大切だからこそ、
自由になりたいという気持ちを押しころしてる。

自分の気持ちだけを優先できないことって、
あるんだ。


「俺は、子どもの気持ちを考えられない親なんて、
さっさと切りすてればいいと思うけどな」

「……っ」

「あとあと、障害になるだけだ」


 迷いがないその言葉は、私の心に突きささる。

家族とうまくいってないのかな。

そんなふうに勘ぐってしまうほど、
夜斗くんの顔からは表情が消えていた。

胸がキュッと締めつけられるのを感じていると、
それに気づいた夜斗くんの手が私の頭に乗る。


「考え方なんて、人それぞれだ。
理解できなくても、所詮は他人なんだから仕方ない」


夜斗くん……。
励ますつもりで言ったなら、それは逆効果だよ。

 私は今、夜斗くんに“お前には理解できない”って
突きはなされたように感じたから。


「私は……納得できるかは別として、
夜斗くんの考え方も理解したいって思う」


ぽつりと本音を言うと、夜斗くんは片眉を持ちあげる。


「他人のために、どうしてそこまでできるんだ?」

「他人のためにというか……。
私はもう、夜斗くんとは友だちに
なれてるって思ってまして……」


 自分でもどうして初めて会ったばかりの、
それも不法侵入までしてきた暴走族の彼に
こんなにも心を許してるのか、よくわからない。

わからないけど、たぶん。
 夜斗くんが私と同じで、寂しさを抱えている人だと、
そう感じたからかもしれない。


「だから、もっと仲良くなれるなら、
理解することをやめたくない……です」


 語尾がどんどんしぼんでいく。

 一丁前なことを言ってしまったけど……。
私は友だちがたくさんいるわけじゃない。
 でも、これだけはわかる。
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