冷徹騎士団長の淑女教育
ユーリス城のダンスホールは、アイヴァンの別宅のホールとは比べ物にならない広さだった。
濃紺の絨毯を敷き詰めた床が、延々と続いている。壁と天井は金模様でふんだんに装飾された大理石で、シャンデリアが宝石のようなきらびやかな光を放っていた。
ホール内は着飾った貴族で溢れ、品のある男女の笑い声があちらこちらで響いている。
クレアとエリックは、ホール内に姿を現すなり、注目の的となった。
エリックのもとへ挨拶をしに来る者がひっきりなしに現れ、その度にエリックはクレアを「今宵の同伴者」と紹介した。
ある者は親しみを、ある者は嫉妬心を、ある者はクレアの素性を訝しむ視線を残して去っていく。
ことに女性たちからのなぶるような視線は執拗で、クレアは生きた心地がしなかった。
「私、彼女に何かしたかしら……」
色彩豊かな羽根つき帽子で着飾ったクジャクのような成りの令嬢にキッと睨まれたあとで、クレアは不安になってエリックに問いかけた。
するとエリックは、「僕と一緒にいるからだよ」と当然のように答えた。
「皆、僕のパートナーになりたがっている。だけど僕は、こういった公の場に滅多に姿を現さないからね。久々に来たと思えば、君のような謎の美女を連れているから、いい気持ちがしないんじゃないかな」
エリックは、次期国王候補の子息だ。彼と結婚すれば、いずれは王妃になれる可能性だってある。貴族の令嬢たちが躍起になってエリックのパートナーになりたがるのは、当然といえば当然のことだ。
濃紺の絨毯を敷き詰めた床が、延々と続いている。壁と天井は金模様でふんだんに装飾された大理石で、シャンデリアが宝石のようなきらびやかな光を放っていた。
ホール内は着飾った貴族で溢れ、品のある男女の笑い声があちらこちらで響いている。
クレアとエリックは、ホール内に姿を現すなり、注目の的となった。
エリックのもとへ挨拶をしに来る者がひっきりなしに現れ、その度にエリックはクレアを「今宵の同伴者」と紹介した。
ある者は親しみを、ある者は嫉妬心を、ある者はクレアの素性を訝しむ視線を残して去っていく。
ことに女性たちからのなぶるような視線は執拗で、クレアは生きた心地がしなかった。
「私、彼女に何かしたかしら……」
色彩豊かな羽根つき帽子で着飾ったクジャクのような成りの令嬢にキッと睨まれたあとで、クレアは不安になってエリックに問いかけた。
するとエリックは、「僕と一緒にいるからだよ」と当然のように答えた。
「皆、僕のパートナーになりたがっている。だけど僕は、こういった公の場に滅多に姿を現さないからね。久々に来たと思えば、君のような謎の美女を連れているから、いい気持ちがしないんじゃないかな」
エリックは、次期国王候補の子息だ。彼と結婚すれば、いずれは王妃になれる可能性だってある。貴族の令嬢たちが躍起になってエリックのパートナーになりたがるのは、当然といえば当然のことだ。