冷徹騎士団長の淑女教育
「彼の、どこがそんなにいいの? 無口で厳格で堅物だ。特に訓練中は鬼のようだって、騎士団員たちは怖がってるよ。君にだって厳しいんだろ?」
エリックの呟きに、クレアはクスリと笑った。騎士団員に厳しく当たるアイヴァンが、容易に想像できたからだ。
「そういうところもひっくるめて、全てが好きなの」
アイヴァンの厳しさの裏には、優しさが潜んでいる。幼い頃、混乱の最中初めて彼に手を握られたときから、クレアはそれを分かっていた。
子供であるクレアの扱い方が分からないと、困ったように謝ってきたこともある。
醜さを他人になじられて落ち込んでいたクレアに、『君は美しい』と、真っすぐな瞳で言ってくれたこともある。
誰よりも深い優しさを人には見せることに慣れていない、不器用で口下手な彼。
そんな彼の全てを慈しみ包み込める、風のような人間になりたいとクレアは思っている。
どんなに苦しくとも、この恋に見返りを求めてはいけない――。
エリックの呟きに、クレアはクスリと笑った。騎士団員に厳しく当たるアイヴァンが、容易に想像できたからだ。
「そういうところもひっくるめて、全てが好きなの」
アイヴァンの厳しさの裏には、優しさが潜んでいる。幼い頃、混乱の最中初めて彼に手を握られたときから、クレアはそれを分かっていた。
子供であるクレアの扱い方が分からないと、困ったように謝ってきたこともある。
醜さを他人になじられて落ち込んでいたクレアに、『君は美しい』と、真っすぐな瞳で言ってくれたこともある。
誰よりも深い優しさを人には見せることに慣れていない、不器用で口下手な彼。
そんな彼の全てを慈しみ包み込める、風のような人間になりたいとクレアは思っている。
どんなに苦しくとも、この恋に見返りを求めてはいけない――。