冷徹騎士団長の淑女教育
アイヴァンの冷酷さは、頑なだった。きっと、王宮騎士団の小隊長としての彼も冷たく厳しいのだろう。

だが、恵まれない境遇のもとに生まれ育ったにしても、クレアはまだ八歳の少女だ。以前の邸では、相手にされないことや陰で魔女呼ばわりされることはあっても、このように直接厳しい言葉を投げかけられることはなかった。

それにクレアは、少しでもレイチェルの力になりたいという親切心から、自らすすんで手伝いをしていた。間違った考えではないと思う。アイヴァンの言いつけを守らなかったのは確かだが、少しくらいねぎらいの言葉をかけてくれてもいいのではないだろうか。



クレアの瞳に、じわじわと涙が滲んだ。涙がこぼれないように唇を引き結んで耐え、睨むようにアイヴァンを見上げる。

アイヴァンはそんなクレアをなおも冷たい目で見ると、

「泣いても無駄だ。読み書きの書物を持ってきたから、すぐに部屋に来い」

そう言い残して、厨房をあとにした。

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