冷徹騎士団長の淑女教育
ダグラスが現れたのかと思ったアイヴァンは、漆黒の瞳に殺気を漲らせながら振り返る。

だがそこに立っていたのは、どういうわけかエリックだった。

馬で疾走してきたのか、金色の髪は乱れ、彼にしては珍しい焦りの表情が浮かんでいる。

「クロフォード騎士団長、やはりここにいたか……」

アイヴァンは一瞬、彼もダグラスとグルなのかと考えた。王族を狙う危険分子として、フィッシャー家を常にマークしてきたからだ。だがエリックは、予想外のことを口にする。

「ベンからクレアの失踪を聞いた君が、動き出す頃だと思っていた。クレアはここにはいない。執務官長とともに馬車に乗り、アルメリアの郊外に向かっているのを見た」

アイヴァンは、すぐにエリックの前に迫り、必死の形相で問いただす。

「郊外の、どの方向だ!?」

クレアのことを想い冷静さを欠くあまり、エリックがフィッシャー大公家の嫡男であることは完全に頭から吹き飛んでいた。


「案内する。ついてきてくれ」

< 166 / 214 >

この作品をシェア

pagetop