冷徹騎士団長の淑女教育
食ってかかるエリックを、アイヴァンは落ち着いて見つめ返した。

漆黒の瞳には、静かな、それでいて底知れない獰猛さを秘めている炎が宿っていた。

瞳の無言の圧力に気おされるように、エリックは口を閉ざす。

「早く行くんだ」

空気を切り裂くような冷たさを孕んだアイヴァンの物言いには、有無を言わさぬ強大な力があった。

大陸一と名高いユーリスの騎士団の頂点に立つ男の眼力を受け、エリックは出しかけた言葉を呑み込む。

「……分かった」

やがてエリックは引き下がると、馬に飛び乗り再び森に戻って行った。

アイヴァンはエリックを見届けると、剣を持ち直し、重々しい円筒の建物へと厳かに歩み出した。


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