冷徹騎士団長の淑女教育
*
「どうして、あなたがここに……」
四方を石壁に囲まれた部屋の中で、唐突に入り口から姿を現した人物を見て、クレアは動揺していた。
目の前に、牢獄のようなこの部屋には不釣り合いな優雅な深紫のドレスを身にまとったデボラ王妃が立っていたからだ。
ありえない状況に打ち震えるクレアを眺めながら、デボラ王妃はにっこりと華麗に微笑んだ。ときに民衆から天使と謡われる笑顔だが、今は恐怖しか感じ得ない。
「やっと見つけたわ、シャーロット・クレア・ウインストン。しつこくて、目障りな娘」
刺々しい台詞は、麗しく紅を引いた唇から紡ぎ出されるには、あまりにも不似合いだった。
「シャーロット……?」
クレアは、一瞬デボラが誰のことを言ったのか分からなかった。やがて名前の一部にクレアと含まれていたのに気づき、意味不明ながらもデボラが自分を呼んだのだと理解する。
ぼんやりとしているクレアを見て、デボラは嘲笑的な笑みを口もとに携える。
「その様子だと、自分が何者かまだわかっていないようね。もう一度教えてあげましょうか? シャーロット・クレア・ウインストン。それが、あなたの本当の名前よ」
クレアは、動揺のあまり震えを隠しながら押し黙ることしかできなかった
ウインストンは、現国王――つまり、三代前からユーリス国を支配している王家の名前だ。
「どうして、あなたがここに……」
四方を石壁に囲まれた部屋の中で、唐突に入り口から姿を現した人物を見て、クレアは動揺していた。
目の前に、牢獄のようなこの部屋には不釣り合いな優雅な深紫のドレスを身にまとったデボラ王妃が立っていたからだ。
ありえない状況に打ち震えるクレアを眺めながら、デボラ王妃はにっこりと華麗に微笑んだ。ときに民衆から天使と謡われる笑顔だが、今は恐怖しか感じ得ない。
「やっと見つけたわ、シャーロット・クレア・ウインストン。しつこくて、目障りな娘」
刺々しい台詞は、麗しく紅を引いた唇から紡ぎ出されるには、あまりにも不似合いだった。
「シャーロット……?」
クレアは、一瞬デボラが誰のことを言ったのか分からなかった。やがて名前の一部にクレアと含まれていたのに気づき、意味不明ながらもデボラが自分を呼んだのだと理解する。
ぼんやりとしているクレアを見て、デボラは嘲笑的な笑みを口もとに携える。
「その様子だと、自分が何者かまだわかっていないようね。もう一度教えてあげましょうか? シャーロット・クレア・ウインストン。それが、あなたの本当の名前よ」
クレアは、動揺のあまり震えを隠しながら押し黙ることしかできなかった
ウインストンは、現国王――つまり、三代前からユーリス国を支配している王家の名前だ。