冷徹騎士団長の淑女教育
「状況が呑み込めたかしら? ただし、勘違いしないでちょうだい。ウインストンだからといって、私はあなたの母親ではないわ。あなたの母親は、ハワードの乳母兄弟だった身分の低い娘よ。つまり――」
そこでデボラは一息置くと、スッとクレアの目前に歩み寄る。そして、クレアの左手を取った。
侮蔑するような冷ややかな眼差しが、むき出しになった醜い痣に降り注ぐ。
「あなたは、この国の王女、ゆくゆくは後継者になる予定だった娘。この禍々しい痣が、何よりの証拠」
デボラの言葉に、クレアはもはや動揺を隠せないでいた。デボラからパッと左手を振り払い、守るように胸に抱きしめる。
自分が王女であるなど、想像したこともなかった。騙されているのではないかと半信半疑だが、デボラの冷ややかな視線には嘘を吐いているようには思えない凄味があった。
「あくまでも”予定”ね。調子に乗らないでちょうだい」
クスクスと、デボラが笑う。
「いくらハワードの血を引いているからといって、身分の低い母親の娘がこの大国の後継者になるなど言語道断。だから私が毒薬で始末したのよ、まずはあなたの母親を。それから、まだ赤ん坊だったあなたをダグラスにさらわせた。バロック王国の、彼の邸にね」
「なんてことを……」
すまし顔でことのあらましを告げるデボラは、他人を殺めることも、他人の人生を捻じ曲げることも、なんとも思っていないようだった。
自分の行動こそが正義だと言わんばかりの、自信に満ちた笑顔だ。
そこでデボラは一息置くと、スッとクレアの目前に歩み寄る。そして、クレアの左手を取った。
侮蔑するような冷ややかな眼差しが、むき出しになった醜い痣に降り注ぐ。
「あなたは、この国の王女、ゆくゆくは後継者になる予定だった娘。この禍々しい痣が、何よりの証拠」
デボラの言葉に、クレアはもはや動揺を隠せないでいた。デボラからパッと左手を振り払い、守るように胸に抱きしめる。
自分が王女であるなど、想像したこともなかった。騙されているのではないかと半信半疑だが、デボラの冷ややかな視線には嘘を吐いているようには思えない凄味があった。
「あくまでも”予定”ね。調子に乗らないでちょうだい」
クスクスと、デボラが笑う。
「いくらハワードの血を引いているからといって、身分の低い母親の娘がこの大国の後継者になるなど言語道断。だから私が毒薬で始末したのよ、まずはあなたの母親を。それから、まだ赤ん坊だったあなたをダグラスにさらわせた。バロック王国の、彼の邸にね」
「なんてことを……」
すまし顔でことのあらましを告げるデボラは、他人を殺めることも、他人の人生を捻じ曲げることも、なんとも思っていないようだった。
自分の行動こそが正義だと言わんばかりの、自信に満ちた笑顔だ。