冷徹騎士団長の淑女教育
「国王は、目に見えて衰弱しているわ。あと少し、あと少しだったのよ……!」

興奮したように、デボラが捲し立てる。見開かれた目は血走り、今の顔貌は美麗で聡明な王妃からは程遠い。

「それなのに、今になってあなたが現れた。まさか、あのアイヴァン・ジェイク・クロフォードがあなたを連れ去り隠していたとはね。でも、愚かな男。誘拐された王女の居場所は突き止めても、本当の敵には気づかなかったようね」

ホホホッと意地の悪い笑い声を響かせるデボラに、クレアは心底不快感を覚えた。

アイヴァンを卑下するような言動は、誰であろうと許せない。





「……私を、どうするおつもりですか?」

「どうするって? 決まっているじゃない」

クスッと、見下すような笑いを漏らすと、デボラはパチリと指を鳴らした。

途端に、武装した男たちが雪崩のように部屋に入ってくる。ざっと見ただけでも、二十人はいるだろうか。その中心には、眼鏡を外したダグラスの姿もあった。

「彼らは皆、モンタギュー家の末裔よ。自分たちの栄華が返り咲く日を願って、代々密かに生を繋いできた。毒に侵された国王が死ねば、次の王位継承者は私よ。そうすれば、再びこの地をモンタギューの配下にすることができる。そのためには、私よりも王位継承権が上であるあなたには、消えてもらわなくてはいけないのよ」
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