冷徹騎士団長の淑女教育
クレアは背筋を正すと、すうっと息を吸い込んだ。
絶対に負けてはならないと思った。
たとえ死が目前に迫っていても、アイヴァンが育んだ王女としての威厳を、最後まで見せつけなければならない。
「デボラ王妃。私は、次期王位継承者になるべく、アイヴァン様に育てられました。だから、あなたに国を譲るつもりは全くございません」
不思議と、気持ちは落ち着いていた。アイヴァンが求める者にならなければならないという使命感が、クレアの全てを凛と支えている。
突如気概を示したクレアに、目の前で短剣をかざしているダグラスが一瞬怯んだ。
だが、「あら、そうなの?」とより一層甲高い声を上げたデボラは違った。
「愚鈍な娘ね。今のこの状況が、分かって言っているの? あなたはそういうつもりでも、結果としてこの国は私のものになるのよ」
静かな怒気を孕んだデボラの声に、ダグラスは我に返ったように短剣を握りなおした。
そして、目の前のクレアに狙いを定めて大きく振り上げる。
クレアはその隙に、大きく身をかがめた。そして、翻るドレスのスカートを抑えながらダグラスの足を渾身の力で蹴り払った。
幼い頃からアイヴァンに教わってきた護身術を、基本のひとつひとつを思い出しながら確実にやり遂げる。
クレアの一撃を受けてダグラスはバランスを崩したものの、すぐに立ち直った。
それから「チッ」と忌々しげに舌打ちを打つと、「小娘のくせに、小癪な真似を」と憤りを目に露にする。
絶対に負けてはならないと思った。
たとえ死が目前に迫っていても、アイヴァンが育んだ王女としての威厳を、最後まで見せつけなければならない。
「デボラ王妃。私は、次期王位継承者になるべく、アイヴァン様に育てられました。だから、あなたに国を譲るつもりは全くございません」
不思議と、気持ちは落ち着いていた。アイヴァンが求める者にならなければならないという使命感が、クレアの全てを凛と支えている。
突如気概を示したクレアに、目の前で短剣をかざしているダグラスが一瞬怯んだ。
だが、「あら、そうなの?」とより一層甲高い声を上げたデボラは違った。
「愚鈍な娘ね。今のこの状況が、分かって言っているの? あなたはそういうつもりでも、結果としてこの国は私のものになるのよ」
静かな怒気を孕んだデボラの声に、ダグラスは我に返ったように短剣を握りなおした。
そして、目の前のクレアに狙いを定めて大きく振り上げる。
クレアはその隙に、大きく身をかがめた。そして、翻るドレスのスカートを抑えながらダグラスの足を渾身の力で蹴り払った。
幼い頃からアイヴァンに教わってきた護身術を、基本のひとつひとつを思い出しながら確実にやり遂げる。
クレアの一撃を受けてダグラスはバランスを崩したものの、すぐに立ち直った。
それから「チッ」と忌々しげに舌打ちを打つと、「小娘のくせに、小癪な真似を」と憤りを目に露にする。