冷徹騎士団長の淑女教育
クレアの視線を、肯定の返事と捉えたのだろう。

「それで、何がうまくいかないの?」

エリックが、先ほどの話の続きを促した。

クレアは意を決すると、彼の望み通りくだけた口調で言った。

「早く大人の女性になりたくても、うまくいかなくて……」

心身ともに大人の女性になれば、アイヴァンは振り向いてくれるかもしれない。だがクレアは見かけも未熟なうえに、気持ちも子供のままだ。先日も素直になれなくて、アイヴァンとぎくしゃくしてしまった。



目の前のエリックの目が、やや見開かれる。

「大人の女性になりたいだって? 僕から見れば、君は充分大人の女性だけど」

「……本当に? どこを見て、そんなことを思うの?」

クレアは、自分の姿がエリックに良く見えるように、両手を広げる。

先日アイヴァンが連れていた女性の色っぽさに比べれば、クレアなどヒヨコのようだ。ああいう見かけを、大人の女性と言うのだろう。エリックはクレアに気を遣って、嘘を並べているに違いない。
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