約束~悲しみの先にある景色~
「……そうですね。私も、トユン様が居なければ上手く対応が出来なかったかもしれません」


運転しながら、これまた小声で答える山口さん。


「いやいや。俺は、カイちゃんとかガクちゃんとかマンネを見てきて、そういう対応が出来るだけだよ」


か頭から伝わる振動で、彼が首を振っているのが分かる。


「いえ。トユン様、謙遜なさってはいけません。…それより、『マンネ』とは誰の事を指しておられるのですか?」


「謙遜してないし!…あー、マンネは、ショーンの事。あいつの事をマンネって言ってるのは、俺とアッキーだけで………アッキー!?」


山口さんの質問に小声で答えていたトユンさんは突然、何かを思い出したかの様に大声を上げ、慌てて口に手を当てた。


その声にびっくりして、私の足が揺れる。


「トユン様、少しお静かに!…どうされたのですか?」


トユンさんに続いて声が大きくなりかけた山口さんも、慌てて声を潜めていて。


そんなに声を潜めなくても、起きてるから平気なのに…、と若干の罪悪感を覚えながら、私は狸寝入りを続けた。


「思い出した、俺アッキーに用があったんだ!ごめん山ちゃん、今から電話掛けるね」


てへぺろー、と謎の言葉を呟きながら、トユンさんは何かースマートフォンだろうーを自分の耳に押し当てた。


その感覚が、彼の身体に触れているから伝わってくる。
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