約束~悲しみの先にある景色~
いっその事可燃ごみに出したいわ…、燃やされた方がいいだろこんな奴、と、彼は自分がラーメンを食べる為に沸かしていたお湯を、数滴私の身体にかけた。


『あっ、……つ、!』


例え数滴だといえ、例えそれがスポイトで吸われたお湯だとはいえ、皮膚に触れたら熱くて痛くて痒くて逃げたくなるのは変わらなくて。


(……お父さ、!)


何で、私ばかりこんなに酷い事をされなければならないのだろうか。


悪い事なんてしていないのに。


意味の分からない理由からヒートアップした体罰は、止まる事を知らない。


お父さんは私を叩き続け、蹴り続け、殴り続け、罵声を浴びせ続け、踏みつけ、とうとう私が血だけでなく少ない胃の中のものを吐き出しても尚、それらは止まらなかった。


逆に、どんどん強く酷くなっていくばかりだった。


(うっ、…!)


現実逃避をして、空想上の兄に助けを求めようとしても上手くいかない。


身体の痛みが酷くて、頭が回らないのだ。


ベランダから飛び降りてでもここから逃げたいのに、机の脚と繋がれた片足のせいでどうする事も出来なくて。


『……ん、ごめんな、……さいっ…!おと、さ……ごめんなさ…、っ、』


私は、力の入らない手を何とか持ち上げ、せめて頭だけは守ろうと俯いて頭を両手で抱えた。
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