約束~悲しみの先にある景色~
人がうなされている時は、放っておくべきなのかもしれない。
起こすべきなのかもしれない。
けれど、周りでうなされている人が居なかった俺には、対処法が分からなくて。
ガクちゃんとルームメイトのカイちゃんが、たまに、
『ガクちゃん、またうなされてたよ。俺起こして正解だったー』
と言っているのを聞くけれど。
(んー、)
でも、彼女を起こした方が良いのだろうか。
彼女は今まで、寝不足続きだった。
これで俺が起こしたら、瀬奈ちゃんはまた寝なくなる気がする。
そんな事になったら、負の連鎖だ。
だから俺は、とにかく瀬奈ちゃんの手を握り締めていた。
普通にうなされているならまだしも、先程の彼女の声は完全に助けを求めている悲痛な響きを持っていた。
「やっ……駄目っ…!」
俺が握っている手が、ピクピクと動く。
違う、震えているのだ。
「っ…瀬奈ちゃん、大丈夫だからね」
どうして彼女がこんな風になっているのか、一体どんな夢を見ているのか、俺は見当もつかないけれど。
聞こえていないかもしれないけれど、義兄として。
「……」
黙ってしまった瀬奈ちゃんに、俺は優しく声を掛けた。
「瀬奈ちゃんなら大丈夫だよ…瀬奈ちゃんなら大丈夫」
ベッドの横にしゃがんで、彼女の手を擦りながら。
俺は、彼女に声を掛け続けた。
起こすべきなのかもしれない。
けれど、周りでうなされている人が居なかった俺には、対処法が分からなくて。
ガクちゃんとルームメイトのカイちゃんが、たまに、
『ガクちゃん、またうなされてたよ。俺起こして正解だったー』
と言っているのを聞くけれど。
(んー、)
でも、彼女を起こした方が良いのだろうか。
彼女は今まで、寝不足続きだった。
これで俺が起こしたら、瀬奈ちゃんはまた寝なくなる気がする。
そんな事になったら、負の連鎖だ。
だから俺は、とにかく瀬奈ちゃんの手を握り締めていた。
普通にうなされているならまだしも、先程の彼女の声は完全に助けを求めている悲痛な響きを持っていた。
「やっ……駄目っ…!」
俺が握っている手が、ピクピクと動く。
違う、震えているのだ。
「っ…瀬奈ちゃん、大丈夫だからね」
どうして彼女がこんな風になっているのか、一体どんな夢を見ているのか、俺は見当もつかないけれど。
聞こえていないかもしれないけれど、義兄として。
「……」
黙ってしまった瀬奈ちゃんに、俺は優しく声を掛けた。
「瀬奈ちゃんなら大丈夫だよ…瀬奈ちゃんなら大丈夫」
ベッドの横にしゃがんで、彼女の手を擦りながら。
俺は、彼女に声を掛け続けた。