約束~悲しみの先にある景色~
少しして、ヒョンが口を開いた。


「……それでね、トユン。…僕の睡眠不足が初めて改善されたのは、皆に何で僕が寝れないかっていう理由と、自分の過去を話したからなんだよね。僕の場合は…っ、いじめの事が…夢に、出てきたからで…っ…」


けれど、いじめの内容の辺りから彼の呼吸が少しずつ速くなっていく。


俺を抱きしめる力が強くなる。


「それであの時…ルームメイトだった春馬に、僕がうなされててやばそうだったら、叩いてでも殴ってでも起こしてって頼んで…っ…だから何とかなったんだけど…っ、はあっ…」


「待ってヒョン、ちょっ…!」


ヒュッ、ヒュッ…と苦しそうに音を出しながら息をしているヒョンが、このままでは倒れてしまうのではないかと思ってしまう。


いつだったか、ヒョンが俺らにいじめの事を打ち明けた時、確か唯一その過去を知っているハルヒョンの手をずっと握り締めていた。


その時のハルヒョンは確か、いつもなら嫌がるはずなのに、ヒョンの爪が手にくい込んでもどれだけ力を込めて握られても嫌な顔一つしないで、逆に話しているヒョンの背中をさすったり頭を撫でたりして彼を落ち着かせていた。



「だから多分……多分ね、瀬奈ちゃんも誰かに、夢の内容を話したり自分の過去を話したら………っ、改善されるんじゃないかな…?って、思う、よっ…」
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