約束~悲しみの先にある景色~
瀬奈ちゃんにも同じ事…っ、伝えたから…!、と、苦しそうに息を吐き出しながらそう言う彼の声は震えて掠れていて、聞いているこっちが辛くなるからもう振り向きたくてしょうがない。


「待ってヒョン、呼吸が!えっ、振り向いて良いですか?良いですよね?」


半ば強引に尋ねて隣を見ようとしたのに、彼は俺が横を向く事を許さなかった。


「……駄目だよ、トユンっ…」


思い出したくない事を思い出したからこうなっただけで、こんなのいつもなってるから安心して、と、まるで安心出来ない言葉を次々に絞り出したヒョン。


そんな彼は、少し苦しそうに呼吸を繰り返しながら、僕の頭を彼の肩の方まで引き寄せた。


「げ、ヒョン……?」


promiseのメンバーは全員スキンシップが激しい事で知られているけれど、さすがに不意打ち過ぎて驚いた。


「はぁっ………、まあそういう風に、僕は考えたよ。…参考程度にしてくれると有難いかな」


(ヒョン………、)


「…はい、ありがとうございます」


俺は素直にお礼を言って、じっと壁を見つめた。


ヒョンの言う通りに瀬奈ちゃんが俺に何かを打ち明けた時は、俺も、妹とのいざこざを話さないといけないのかもしれない。


俺は、瀬奈ちゃんの望む様な理想の義兄じゃないんだよ、と。
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