約束~悲しみの先にある景色~
「ごめんね、急に瀬奈ちゃんの部屋出ちゃって。あのままだと、あそこで瀬奈ちゃんじゃなくて僕がおかしくなりそうだったから」


凄くね、今の瀬奈ちゃんと前の僕が似ててさ、本当に重なったよ、と、俺を抱き締める力を少しだけ弱めた彼は、泣き笑いを零した。



その声を聞いた俺は、決意を固めた。


(瀬奈ちゃんがどう思うかは彼女の自由だから、もういいや)


(今日言おう)






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(……………)


あれから1間程して楽人さんが私の家の専属運転手であるあの山口さんの車に乗って帰ってしまうと、家は異常な静けさに襲われた。


そもそも私達が騒ぎ立てていたのが悪いのだけれど、問題はお母さんだった。


帰り際に、トユンさんが手渡しで渡した楽人さんのサインとメッセージ付きの紙と、楽人さんのとびきりスマイルと彼の色気が溢れ出した台詞付きポーズを見た瞬間、お母さんは叫び声を上げてソファーに倒れ込んだ。


そして、その2人の行動を見てテンションが上がったらしいトユンさんも、いつもは家でやらないはずなのにお母さんに向かって投げキスを飛ばしたり色気のある表情をしたから、お母さんはソファーで身悶えをしてしまって。


隣で笑みを浮かべて見ていた私も、その2人の色気溢れる行動には思わず胸が高鳴ってしまった。
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